コックピットのコンピューター画面では隊員達のそれぞれの体調を管理するシステムと
ベルーガへの自動航海システム、さらにコールドスリープを管理するシステムが
少しづつ数値を変えながら制御されている事を示していた。
"コールドスリープ解除。蘇生処置開始"
5つのカプセルが一斉に音を出し、カプセルの中の温度がゆっくりと上昇していく。
目を開くとカプセルの透明なカバーは開いており、ライトによって部屋は明るく照らされていた。
他の隊員達もほぼ同時に目覚め、活動を開始しようとしていた。
隊長は不思議な気分で目覚めた…頭が重くクラクラと目眩もしている。
周りの隊員達を見ると自分とは違い爽快な目覚めといった面持ちで
身の回りを整理したり着替えをしたりしている。
「現在位置は?」
「ベルーガまで後一週間ってところね」
隊長の意識がはっきりしてくるとカーラとスコット教授の会話が聞こえてきた。
サムライセイジは機体のチェックに余念がない。
またベイルは近付いてくるベルーガの過去の探査記録などを調べているようだった。
気分がすぐれないまま頭を押さえながら隊長も起きてきた。
「大丈夫ですか?隊長」
「あぁ、なんとかな…みんなは大丈夫なのか?」
「えぇ、大丈夫ですよ。隊長の身体のデータに異常はありませんけど…」
カーラは首をかしげている。
「コールドスリープとは二日酔いのようになるものなのか?」
「コールドスリープが身体に合わない人もいるという報告もありますから…
だけどすぐによくなりますよ」
教授の言葉に少しだけ安堵をおぼえたが、
心の片隅に何か納得のいかないものを抱えているという気分だった。
しかし、責任感からか顔付きは一瞬に"隊長の顔"に戻り
「大気圏に突入できるよう準備を進めてくれ」
「了解しました」
全員がそれぞれの役割をこなしていく。
「隊長。ベルーガの画像来ました。」

コロンビア号の行く手には地球とはまた違った美しさの青い惑星が近付いてくる。
− つづく −
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